夫婦双方に給与収入があり、どちらかがパートタイムなどの場合、その金額によっては、税金の課税と配偶者控除の関係が変わることがあります。
その内容について、次のような方を例に考えてみます。
■妻の税金の課税について
パートタイムなどで得た給与収入は、給与所得控除(給与収入が161万9千円までの場合は65万円)を差し引いた金額が給与所得となります。この所得の額により、所得税や住民税が課税となるかどうかが変わります。
扶養親族がない場合、前年中の給与所得額が28万円を超えると住民税の均等割が、35万円を超えると住民税の均等割と所得割が、38万円を超えると所得税と住民税の均等割と所得割が、それぞれ課税となります。
前年(1月から12月)中の収入が給与所得のみの場合の税負担を表にすると、次のとおりとなります。
前年中の給与所得額 (前年中の給与収入額) |
住民税均等割 | 住民税所得割 | 所得税 |
---|---|---|---|
28万円以下 (93万円以下) |
× 課税されません |
× 課税されません |
× 課税されません |
35万円以下 (100万円以下) |
○ 課税されます |
× 課税されません |
× 課税されません |
38万円以下 (103万円以下) |
○ 課税されます |
○ 課税されます |
× 課税されません |
38万円超 (103万円超) |
○ 課税されます |
○ 課税されます |
○ 課税されます |
注) この表は、税法上の扶養親族がなく、ほかに所得控除がない場合の目安としてご利用ください。
■夫の配偶者控除について
妻が配偶者控除の対象となるためには、妻の給与所得が38万円以下でなければなりません。
ただし、38万円を超えても76万円未満までは、配偶者特別控除の対象となります。この条件は、所得税と住民税に共通で、表にすると次のとおりとなります。
前年中の給与所得額 (前年中の給与収入額) |
配偶者控除 | 配偶者特別控除 | |
---|---|---|---|
38万円以下 (103万円以下) |
○ 対象となります |
× 対象となりません |
|
38万円超、76万円未満 (103万円超、141万円未満) |
× 対象となりません |
○ 対象となります |
|
76万円超 (141万円超) |
× 対象となりません |
× 対象となりません |
注) 配偶者特別控除の額は、妻の所得により段階的に減ります。
夫の所得が1,000万円を超える場合は、配偶者特別控除の適用は受けられません。
※ これらは、住民税・所得税に関する代表的な例であり、健康保険の被扶養者等の条件ではありません。また、扶養親族の有無や所得控除の額など、世帯の状況によって内容は異なります。詳細はお問い合わせください。
平成30年1月以降の所得に適用され、平成31年度(令和元年度)の住民税から下記のとおり改正されます。
■改正の概要
配偶者控除について、納税義務者(扶養する人)に所得制限が設けられ、合計所得金額が900万円を超えると控除額が減少し、1,000万円を超える場合は適用できません。
配偶者特別控除について、配偶者の合計所得金額の上限が123万円まで拡大され、それに合わせて控除額が変更されます。また、納税義務者(扶養する人)の合計所得金額が900万円を超えると控除額が減少し、1,000万円を超える場合は従来どおり適用できません。
■平成31年度(令和元年度)以降の配偶者控除額及び配偶者特別控除額
配偶者の合計所得金額 | 【参考】 配偶者が給与収入のみの場合対応する収入金額 |
納税義務者(扶養する人)の合計所得金額 (給与収入のみの場合の対応する収入金額) |
||||
900万円以下 (1,120万円以下) |
900万円超 950万円以下 (1,120万円超 1,170万円以下) |
950万円超 1,000万円以下 (1,170万円超 1,120万円以下) |
||||
配偶者控除 | 38万円以下 | 配偶者が70歳未満 | 103万円以下 | 33万円 | 22万円 | 11万円 |
配偶者が70歳以上 | 103万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 | ||
配偶者特別控除 | 38万円超 90万円以下 |
103万円超 155万円以下 |
33万円 | 22万円 | 11万円 | |
90万円超 95万円以下 |
155万円超 160万円以下 |
31万円 | 21万円 | 11万円 | ||
95万円超 100万円以下 |
160万円超 166万8千円未満 |
26万円 | 18万円 | 9万円 | ||
100万円超 105万円以下 |
166万8千円以上 175万2千円未満 |
21万円 | 14万円 | 7万円 | ||
105万円超 110万円以下 |
175万2千円以上 183万2千円未満 |
16万円 | 11万円 | 6万円 | ||
110万円超 115万円以下 |
183万2千円以上 190万4千円未満 |
11万円 | 8万円 | 4万円 | ||
115万円超 120万円以下 |
190万4千円以上 197万2千円未満 |
6万円 | 4万円 | 2万円 | ||
120万円超 123万円以下 |
197万2千円以上 201万6千円未満 |
3万円 | 2万円 | 1万円 | ||
123万円超 | 201万6千円以上 | 対象外 | 対象外 | 対象外 |
○ 納税義務者(扶養する人)の合計所得金額が1,000万円を超える場合は控除を受けることができません。
○ 夫と妻の両方が配偶者特別控除を受けることはできません。
○ 前年の12月31日(前年中に亡くなった場合は亡くなった日)の現況で判断します。
○ 事業専従者や内縁の妻または夫は対象外です。